賃貸派、持家派、この論争はどちらが正しいのか?続き

皆様、こんにちは。某大手住宅メーカーにて、20年以上現役で住宅営業マンをしております、「くーるばなーな」と申します。

 さて、今回は前回に引き続き「賃貸派、持家派、この論争はどちらが正しいのか?続き」をお送りいたします。

 今回は、何故私自身が「持家派」なのか、そのあたりを解説してみたいと思います。

 まず、賃貸派のご意見の中に、「土地はいいけど、家は20年もしたら価値ゼロでしょ」という主張があります。これは、木造住宅における、固定資産税の減価償却の期間の事を仰っておられるのではないかと推察しまう。さらに、日本の住宅は平均建替え期間が28年と、先進国諸国の中では、極めて短い耐久性であることも、「賃貸派」の主張を加速させているのではないでしょうか。

 この点については、我々住宅メーカーの責任が極めて重いです。もう50年~60年も前の話ですが、戦後住宅渇望期という時代がありました。その時代に住宅メーカーの多くは生まれているのですが、住宅展示場に並んでお客様が買いに来ていた時代です。建てれば売れていた時代ですので、営業努力もせず、商品開発もせず、正直それほど質の良いものではなかったと聞いています。少し年配の方に「プレハブメーカー」と言えば、印象の悪い世代もあるのではないでしょうか。

 住宅そのものの価値、これは飛躍的に良くなっています。または、そのような価値の高い住宅を選ぶ事が必須な時代になってきています。ここでは、価値の高い住宅については割愛しますが、価値の高い住宅を選ぶ事が「持家派」となる最も重要な要素の一つとなります。

 もし、現実的に上記のような築20年~30年くらいの住宅であれば、それこそ「賃貸派」が正解なのかもしれません。それくらい「長寿命化による耐久性」は重要な要素なのです。

 それは、「長寿命化による耐久性」により、住宅は「耐久消費財」から「資産」へと変貌するからです。確かに住宅は、「新婚時代」「子育て時代」などの現役世代の私達にとって、「住む場所」「住む器」だと思います。勿論、現役を退いてもその場所にご自身で、住み続けても良いのですが、「長寿命化する耐久性」によって、「人に貸すこと」「息子や娘に引継いであげること」が可能となってきます。そうやって、「自ら住む」以外の使い方により、「年金形式の収益」が発生する可能性がある。これが「リバースモーゲージ」という考え方です。

 「リバースモーゲージ」とは、「リバース」とは「逆」とか「反対」とかの意味で、「モーゲージ」とは、「抵当融資」わかりやすく言うと「住宅ローン」です。「逆住宅ローン」の意味で、つまり、「完全所有権の土地と建物について、年金形式でお金を融資する事が出来ますよ」という制度です。

 イギリスなどでは、これに近い社会構造がすでにできていて、日本の老後2000万問題など存在しません。それどころか、老人のほとんどが貯金残高を500万も持っていないそうです。なぜなら彼らは資産価値の高い住宅を持っているからです。現金資産の代わりに、土地や住宅資産を持っていることにより、豊かな生活を送ることが出来るそうです。

 このように、私達、住宅メーカーの社会的使命は質の高い、「長寿命化した耐久性」をもった住宅は世の中に配給する事だと思っています。そのためには、もっともっと、世間一般的に質の高い家が必要なんだという正しい知識が必要だと思います。

 また、「自分達の予算では高い家が買えないから、こちらの安い家にしておこうかな」という、消費行動に待ったと言えないといけないと思います。

 皆さんがしっかりとした、住宅の知識を身につけ、住宅の「良し」「悪し」を選別する目を持ち、自分達のライフプランと資産形成の中で、「住宅の必要性」を感じていただけるなら、私のような「持家派」になっていただけるのではないかと思っています。

 最後までお読みいただきありがとうございました。次回は「ZEH(ゼロエネルギーハウス)ってなんですか?」をお送りします。

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