こんにちは。某大手住宅メーカーにて、20年以上、現役で住宅営業マンをしております、「くーるばなーな」と申します。みなさまの家づくりが、後悔しないものになりますように、日々発信を続けてまいります。
さて、今回は、「住宅の基礎について、しっかりと検討いただけましたでしょうか?」をお送りいたします。
基礎は住宅が乗る土台の部分で、非常に重要な部位の一つです。住宅の品質確保の促進等に関する法律のなかでも、「基礎」「構造体」「雨仕舞」に関してどんな業者でも10年保証をしなさいと、国が明記しているところからも、その重要性がわかると思います。
ただ、ほとんどのメーカーや工務店では、基礎の説明がなされていないと思います。なぜなら、今まで「基礎のご説明はどこかで聞かれましたか?」の質問に対して、ほぼ100%が「いいえ」だからです。
それでは、何故ほとんどのメーカー、工務店では、基礎の説明をしないのでしょうか?答えは簡単です。住宅が完成すれば見えなくなる部分だからです。見えなくなるので、完成後にお客様で基礎をチェックして、クレームになるということもないのです。
それでは、基礎のポイントを説明します。
●基礎の形状 ●基礎の換気と断熱 ●基礎の強度について の3点です。
「基礎の形状」については、「布基礎」と「ベタ基礎」の2種類です。「布基礎」とは、ベース部分が逆T字型になっている基礎で、「ベタ基礎」とは、ベース部分が全て鉄筋コンクリートでつながっている基礎の事です。例えると、地面が雪だとして、靴で歩いているのが「布基礎」スキー板で歩いているのが「ベタ基礎」のように、荷重を支えるのが「線」なのか、「面」なのかの違いです。
地面が不均衡に沈む、いわゆる「液状化現象」については、「面」で支えている「ベタ基礎」の方が強いと言われています。ただし、日本の新築住宅のほぼ80%以上は「ベタ基礎」であるため、ご安心ください。しかし、日本の有名大手住宅メーカーはほとんどが「布基礎」であることにご注意いただきたいのです。この理由は、大手鉄骨メーカーは、鉄骨柱をダイレクトに基礎に接合する、「ダイレクトジョイント」を用いるために、梁の高さが必要となり、「布基礎」が構造上、必要となっております。ベタ基礎に変えるには、追加費用が発生しますので、ご注意ください。
次に、「基礎の換気と断熱」ですが、ほとんどのメーカー、工務店が通風換気を採用しています。換気口といわれる、換気のための窓を基礎に開けるか、木造などでは、基礎上にパッキンをかましてその上に土台ベースを作り、全周から通風換気が出来るようになっております。このように、風を通す事により、基礎の中の換気をしているわけですが、特に冬場は冷風が床下に入ってきますので、よほどの断熱をしないと、戸建て住宅の床下は寒いということになるわけです。
一方、通風換気にたいして、「基礎断熱」という仕様もありまして、こちらは完全に基礎換気口を塞いでしまい、機械換気を床下にもする方法です。建物全体の気密性が担保できれば、床下空間全体も機械換気にて換気が出来るので、あくまで住宅の性能、品質によるのですが、非常に合理的方法です。また、基礎ラインで断熱をするので、床下が冬も冷たくなりにくく、地熱を利用したり、床暖房不要の暖かさを実現できます。
最後に、「基礎の強度」ですが、これはコンクリートの圧縮強度、「N値」で判断する事が出来ます。「N」は強度を表す単位で「ニュートン」と読みます。例えば「24N」とは、1平方センチのコンクリートを圧縮するのに、「240キロ」の力が必要ですよという意味です。
まさに、住宅の基礎としては、「24N」もっというなら「30N」あれば、十分に強度があると言えるでしょう。建築基準法によれば、「18N」の基礎は、大規模補修に20年、使用限界30年、「24N」の基礎は大規模補修に40年、使用限界60年以上と言われています。
「N値」に関しては、公表していないメーカーや工務店も数多くありますので、見極めるのが非常に困難ですが、簡単な目利きをお伝えしますと、「N値」の高い基礎は、コンクリート割合が高いので、グレーよりも白に近い色をしております。最近の高速道路の架橋が白い色をしているのは、そのためで出来るだけ強度の高いコンクリートを使っているのでしょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。次回は、「完成してからのトラブルの大部分、外壁について」をお送りいたします。
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