皆さん、こんにちは。某大手住宅メーカーにて、20年以上現役で住宅営業マンをしております、「くーるばなーな」と申します。雨の続く天気ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか?
さて、今回は「賃貸派、持家派、この論争はどちらが正しいのか?」についておおくりしたいと思います。
私自身、住宅営業をしておりますし、自身の自宅も所有しておりますので、勿論、「持家派」であますが、「賃貸派」の方々の主張についても、ある一定の理解は示しているつもりです。
まず、持家の人生設計といいますか、ライフプランモデルを紹介しますと、20代~30代にて結婚し、子供をもうけて、家族4人で暮らすにはアパートでは少し狭いねといったところから、少し郊外に土地付きの一戸建てを計画する。確かに土地と家は高いけど、「一国一城の主」などというように、所有権の満足はあるし、社会的な信用もついた気がする。よく「あの人はうだつがあがらないな」と言いますが、この「うだつ」と言いますのは、建築用語で「卯建」「宇立」という漢字が当てられます。隣家との延焼防止のために建てられた防火壁の事を「うだつ」と言います。つまり、「あの人はうだつがあがらないな」というのは、「あの人は家も建てられない人なんだ」という意味です。
このライフプランモデルには、国も積極的に関与していまして、住宅を購入する人には、最大限の税金の控除特典つけています。つまり、住宅ローンを組んで家を建てて、経済をより活性化してほしいとの想いからでしょうか。確かに住宅を建てる事によって、不動産業者、我々住宅メーカーが潤うのは、勿論ですが、家具や家電の商品が売れたり、車の買い替えや新生活をスタートさせる費用も発生します。それらに携わる職人さん、業者さんも潤うという構図になっています。
「賃貸派」の批判としては、身の丈に合わない買い物で将来の家計が破綻したらどうするの?いわゆる単世帯、夫婦と子供2人という、家族構成は世の中の多数派ではない。もっと多様化した家族構成が存在する。結婚しない将来独身の人、夫婦二人で子供を設けない人、親御さんと同居しているシングルの息子、娘など。多様化する家族構成の中で、持家だけが住居形態ではない。これは凄くよくわかります。加えて、昨今の離婚率の高さ、3組に1組が離婚しているこの社会状況にて、夫婦で住宅ローンを組んでいる人が大変な目にあっているのが、よく聞かれます。
また、さらに言えることは、コロナ渦における、働き方の変化です。このことはどちらに左右するかはまだわかりません。以前は郊外に住むこと、通勤に1時間以上時間をかけることは、時間単価を考えると非常に非効率で、会社の近くに住むことで、有意義に人生の時間を使えると言われておりました。が、このコロナの状況により、会社の近くでなくてもよいのではとの価値観も生まれてきました。それであれば、在宅の環境をよくしよう、広い家に住もう、在宅で仕事できるワークスペースを作ろうなどと、価値観の変化も見られます。
最後の批判は固定資産税です。固定資産税は何もしなくても、ただただ持っているだけで税金を取られる非常に不合理ともいえる税金です。税率は1.4%ですが、ざっくりとした計算で70年所有していれば、その土地を買った費用をまるまる国にお支払いしないといけないようなものなのです。住宅は減額されていきますが、土地については、所有している限り発生します。
それらの批判はよくわかりますし、一定の理解はできます。
その上で、私は「持家派」です。たしかに「賃貸」は使い勝手が非常にいい。狭くなってきたら広い賃貸に引っ越せばいいし、家族が独立して、部屋が余るようならば狭い部屋に引っ越せばいい。仕事しているときは会社の近くに住めばいいし、定年を迎えれば「仕事中心」の生活でなくてもよいのかもしれません。
ただし、それは若い時、現役世代の時の考え方であることを知っておかなくてはいけません。不動産賃貸業者は老人のおひとり様にほとんどの場合、部屋は貸しません。孤独死の可能性があるからです。「持家」と「賃貸」、総費用で比べたら変わらないね、というのは、老人であっても部屋を貸してくれる前提であって実は荒唐無稽の比較かもしれませんね。
最後まで読んでいただきありがとうございました。次回は「賃貸派、持家派、この論争はどちらが正しいのか?続き」をお送りいたします。
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