皆さん、こんばんは。20年以上某大手住宅メーカーにて、現役で住宅営業マンをしております、「くーるばなーな」と申します。
さて、今回は住宅に関するお金の話③つづき、具体的にどんな場合にリバースモーゲージは使えるの?をお送りいたします。
リバースモーゲージとは、前回お話したように、完全所有権の土地と建物を所有している場合、「住宅ローンの逆」、つまり土地と建物を担保に年金形式でお金が貰える、そのような仕組みのものでした。ちなみに、マンションのような空間所有では、使えませんので注意が必要です。
では、具体的にどようような場合に、使えるのでしょうか?
フラット35の商品群の中に「家の恩返し」という商品があります。この金融商品はリバースモーゲージの「リバース60」を活用した商品で、最近、特に利用者が多いので、ご紹介させていただきます。
「家の恩返し」とは、通常の住宅ローンが「人」に貸すのに対し、「土地と建物」に対して融資します。つまり、通常の住宅ローンは「人」に対して融資しますので、●年収がある程度必要ですし、●勿論、健康でないと融資が受けられません。●また、完済年齢がある程度、決まっていますので60歳以上の方は極めて融資が受けられる可能性が減ります。
一方、「家の恩返し」では、「土地と建物」に融資しますので、●年収はほとんど必要ありません。年金所得のみの方でも借入可能です。●「人」に貸すのではないので、健康でなくても、融資条件とはなりません。●適応要件は「年齢」で、50歳以上、有利な条件にてお借入れするなら60歳以上の方でないと「この融資は使えないのです。」
具体的に、事例をご紹介いたします。例えば担保価値1000万の土地に、新築で建物3000万を建築するとします。そうすると、土地と建物の担保価値は合わせて4000万、50歳以上なら担保価値の30%、60歳以上の方なら担保価値の50%、その建物が長期優良住宅なら55%まで融資を受ける事が可能です。
その担保価値1000万の土地というのが所有地で、3000万の長期優良住宅を新築する場合、担保価値の55%ですから、4000万×55%=2200万まで融資が受けられるということになります。その場合、用意すべき現金は800万ということになります。
その返済はというと、利息のみの返済にて元本の返済は不要ですので、2200万の借入で、約2万5千円程の月々返済という形になっております。これであれば、大きな現金を動かすことなく、月々の返済も抑える事ができるので、安心です。
現金800万円~1000万円といいますと、60歳超えたシニア世代がリフォームに出してもいいかなという金額となります。その世代が、だましだまし、古い家をリフォームするのではなくて、最新の新築住宅に建て替えていただこうというものです。
そうする事で、国が目指している、良質な中古住宅の流通に一役かうことが出来るのです。
デメリットはないのでしょうか?ご夫婦でお住まいいただく場合、お借入れ期間は終身となり、ご夫婦お二人がお亡くなりになるまで続きます。
もし、デメリットというのであれば、ご夫婦お二人がお亡くなりになって、相続が発生した時でしょうか。今まで利息のみの支払いで元金をそのまま残っておりますので、相続を受けた法定相続人である、息子さん娘さんは以下の方法を選ぶ事が出来ます。
①法定相続人様のお手持ち資金より完済する。
②法定相続人様が新たに住宅ローンにて借換たり、ご自身で「家の恩返し」を使って弁済する。
③任意売却にかける。この場合、ローン残高3000万に対し、売却して3500万になるならその差額の500万は法定相続人様に相続されます。逆に、売却して2500万にしかならなかった場合、足りずの500万については、免除され法定相続人様に請求がいくことはありません。これを「ノンリコースローン」といい、これも「家の恩返し」の大きな特徴です。
この方法をとることによって、60歳以上の方々はリフォームでなく思い切って建替えを検討する事ができるようになりましたし、また40歳前後の方も住宅ローンについて、もう少し気楽に考える事が出来るようになりました。
例えば40歳で、35年住宅ローンを組むと、完済年齢は75歳。そんな年まで働いてるの?という疑問が常にお客様の勢いを鈍らせてきました。このリバースモーゲージを活用したご提案では、「完済する事を考えない」つまり、40歳から60歳までの20年間だけ、頑張って住宅ローンに取組んで、60歳越えた段階にて「家の恩返し」に借り換えるのです。そうする事により、完済するために無理して繰り上げ返済することもありませんし、何よりも大事な現金が減る心配も少なくなる。
いざという時には、いつでも完済が出来るような、現金の準備ができるようにすることです。でも、実際は繰り上げしない、現金減らさない、こんな考え方が「日本の住宅業界」を良くするように思うのです。
少し乱暴な言い方になってしまいますが、どんな年齢の方、ご年収の方であっても、住宅に関するお金の悩みについては、非常に少なくすることが可能ですし、お金のために気に入らない家を建てる事は全くないと、私自身は思います。
最後まで、読んでいただきありがとうございました。次回は「グリーンポイントってなんですか?」をお送りいたします。よろしくお願いいたします。
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